家来システムから契約システムへ

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る
Pocket

samurai

セレンディピティ

巷は夏休みですが、日本はあまり明るいニュースがありませんね。

昨日、日本の財政赤字が1054兆円になり、国民一人当たり800万にもなるというニュースがありました。
私は、最近はマスコミの報道を疑ってかかるという癖がついてしまって、またいいかげんなことを言ってるのではないかと思ったので、財政について少し勉強しようと思いました。
そこで、「財政の仕組みがわかる本」という本を読んでみたのですが、その中で思わず目から鱗のことが書かれてありました。
それは財政についてのことではなく、日本の組織についてのことです。

武士の就職

江戸時代では、日本で就職するといえば、武士が藩に仕官するしかありませんでした。
基本的には自給自足の経済なので、お金を稼ぐということが一般的ではなかったんですね。
藩に召し抱えられるということは、殿様の家来になるということです。
家来になれば、どんな仕事もやらなければいけないし、時には命をかけて戦わなければいけません。
これって、今の日本企業と同じだと思いました。
新卒一括採用で明確な契約がない状況で雇用されて、終身雇用で定年まで会社のためになんでもやることになります。
さらに、長時間労働などブラックな働かせ方は当たり前で、転職するような奴は裏切り者として扱われます。
これって江戸時代の家来と同じですよね。
(江戸時代に藩を変わるというのはなかなかできなかったと思いますが。)
だから、非正規社員の待遇が悪いのも当たり前で、家来ではないので会社としては大事にする必要がないからです。
奴隷と同じ扱いなんでしょうね。

キリスト教は契約システム

一方、西洋ではキリスト教の考え方が一般的なため、どこかで働く場合は契約を基本とします。
キリスト教では、神と契約して何をしていいとか悪いとかを誰でもわかるように明文化します。
モーゼの十戒は、契約書の元祖ですね。
欧米の企業が人を雇うときは、明確にジョブディスクリプションを出します。
つまり、仕事の内容や責任範囲、報酬や待遇など明確に雇用者に提示します。
そして、契約は期間限定で、契約更新される保証はありません。

一見すると、日本企業は社員にやさしくて、欧米の企業は冷酷なリストラを行ってひどいと思いがちですが、実は日本企業のほうが過酷な環境になりがちです。
なぜなら、日本では一度失業すると再就職が難しいので、いやな会社でも我慢しなければいけないですし、ずっと同じ人たちと仕事をすることになるので同僚ともめないように必要以上に気を使わなければいけません。
一方、欧米の企業では、いやになってやめても次の就職先が見つかりやすいので、精神衛生上はずっと楽です。
ただ、生活の安定を望む人は日本式がいいと思うでしょうから、欧米と日本では一長一短だと思いますが、歴史的に見ると日本式はいつか破たんします。

契約社会の必然性

なぜなら、日本型組織は、変化に弱いからです。
家来方式で組織を運営していた江戸幕府は最後はどうなったかというと、西洋列強の植民地政策と蒸気船という技術革新によって世界情勢が変わり、その影響で簡単にひっくり返されてしまいました。
江戸幕府にも有能な人がたくさんいましたが、みんな新卒採用で雇われたサラリーマンと同じようなものでした。
同じ環境で似たような人たちばかりでつるんでいると、社会がドラスティックに変わっているときに対応できないんですね。
つまり、組織メンバーの多様性が重要だということです。

この多様性を獲得するためには、今の日本企業の組織運営では不可能です。
純血主義で新卒採用にこだわっていると、どうしても組織の同質化が進みます。
そして、徐々に組織が社会変化に対して脆弱になり、あるとき一気に崩壊します。
日本が、短い期間に明治維新と第2次世界大戦敗北という2回も大きな社会崩壊に見舞われたのも、そういう社会構造がベースにあったからなのかもしれません。

そして今、日本は戦後70年が経ち、新たな変化に見舞われています。
政治的には、アメリカの力が弱くなり中国が軍事的に台頭してきています。
経済的には、大量生産大量消費の時代は終わり、インターネットとコンピューターによる情報システムの時代になりました。
この変化に日本は全く対応できていません。
その理由は、日本の組織の同質化が高いからだと思われます。
このまま行くと、明治維新や終戦の時のように突然クラッシュする可能性があります。

この現状を変えるには、雇用を明確な契約に基づいて行うようにするしかありません。
そうすれば、多くの人が異質な考え方にふれる機会が増えて、社会全体が変化に柔軟に対応できるようになるでしょう。
ただ、いままで生え抜きにこだわっていた企業が契約ベースにはなかなか変われないでしょうが、変わるしか生き残る道がないとわかったらやるでしょう。

日本の停滞は、財政政策や政治では改善しません。
新しい時代にあった組織形態に変えて、新たな価値を生み出せる社会にするしかないのです。
終戦の日を前に、そんなことを考えながらブログを書いてみました。

今回のブログを書くきっかけになった本。ジュニア新書と馬鹿にできないとてもいい内容です。

西洋社会を知るためにはキリスト教ははずせません。聖書はお話としてもおもしろいですよ。

ある意味クーデターだった明治維新ですが、日本のこれからに教訓になる事件でしたね。

同質の人たちが、危機的状況の時にいかに意思決定できないかがわかります。東芝とかシャープとか今もこんな組織多いですよね。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る
Pocket