貯金の正体

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貯蓄の正体 写真
経済は、人間が認識するには大きくて複雑なため、直観とは反することが結構あります。

例えば、個人の視点で考えると、節約して貯金することは老後の心配もあるのでいい行いだと誰しも思うでしょう。
しかし、みんなが貯金してしまったら、経済全体はどうなるでしょうか。

そう、実は貯蓄が不景気にしているのです。
なぜなら、多くの人が貯蓄すると、ものを買う人が少なくなります。
そうすると、景気が悪くなり企業も投資もせずに内部留保を積み上げて、非正規労働者などを使ってコスト削減を行い自己防衛に入ります。
また、最近は企業は社債で資金調達をするので、銀行はお金を貸す相手がいなくなっています。
さらに、国が緊縮財政を行うとさらにお金が回らないという悪循環になります。

「資本の世界史」という本では、節約して財テクする人が多くなったために景気が悪くなり、金融危機が起きやすくなったと書かれています。
ヘッジファンドや投資銀行などが扱う金融マネーは、いまや実体経済の何倍ものお金を世界中でやり取りしているため、経済が非常に不安定になっています。
その証拠に、ここ10年で、ITバブル、サブプライムローン問題、EU危機と3回も金融危機が起こっています。
金融取引を制限しないと、また近い将来金融危機が起こるでしょう。

個人としてはお金をためて資産運用することはいいことですが、経済全体ではそういう人たちが増えると困った状態になります。
金額的には個人よりも企業や国が支出をカットするほうが影響は大きいと思いますが、景気は多くの人の感情に左右されやすいので個人の動向もかなり影響が大きいでしょう。
個別最適と全体最適がぶつかっている典型的な例ですね。
でも、みんながお金を貯めこむのは、将来が不安だからです。
だから、老後や無職になった時でもお金に困らないような制度を政府が作れば、みんな安心してお金を使うようになるでしょう。
ただ、そんなことをすると財政が破たんするという人がいますが、みんながお金を貯めこむ社会も継続不可能なのです。
では、どうすればいいでしょうか。

日本の場合は特に厳しくて、少子化で働く人が少なくなりますので、社会保障を負担する人たちは減ります。
45年後の2060年には日本の人口は8600万人まで減り、65才以上がほぼ40%になります。(参照: 日本の将来推計人口
おそらく、そのころには定年という制度ははなくなり、誰もが元気なうちは働かないといけなくなるでしょう。
しかし、年をとると病気もしますし、そんなに働けません。
したがって、現役世代が働いて支えるしかありません。
そのためには、現役世代がたくさん稼げるようにして年金を払えるようにしないといけません。
そうすると、非正規雇用という制度を禁止して、正当な報酬を得られるようにすることも必要です。
また、現役世代を再教育するサービスを充実させて、無料で単価の高い仕事ができるようなトレーニングを提供すべきでしょう。

そして、企業はキャッシュを貯めこむのではなく、ビジネスに積極的に投資するべきです。
国は社会保障を充実させて、国民に将来不安のないようにする必要があります。
そうすれば、むやみにため込む人は少なくなるでしょうし、お金が回るようになります。

私は、今までは企業も競争で生き残るために、正社員を減らして非正規労働者を安く使うのもしかたのないことだと思っていました。
そして、いまや企業はアルバイトまでブラックな働き方を強要するようになり、いよいよ社会が末期的状況になっています。
しかし、経済全体から見ると、それはさらに状況を悪化させることになっていたことに最近気づきました。
そもそも非正規雇用で人件費を安く抑えられるから、経済が活性化しないのです。
人を使うのが高いのであれば、機械化したり付加価値のあるビジネスに変えようと経営者は努力するものです。
そういう中から新たなビジネスが出てくるものですが、今は、正当な報酬を払わなくても働いてくれる人がいるから、経営者が怠慢になっているのです。
本当に理想的な社会は、国民が将来に不安に思うことなく、企業は実業を一生懸命やり、個人はいっぱい稼いでいっぱい使うという社会なのだと思います。

グローバルで国も企業も競争状況にありますので、ちまちまコストをカットしたところでグローバル競争には勝てません。
アメリカやヨーロッパを見ても重工業や製造業など、かつての繁栄した産業は今は見る影もありません。
(ドイツと日本だけがなんとか続けてますが、今にも潰れそうな会社が結構ありますよね。)
これからは色んな事を学んで新しい産業をおこし、付加価値の高い仕事のできる人が増えることこそ競争で勝つための条件でしょう。
そのためにも、一番重要なのは21世紀にあった教育を多くの国民に提供することだと思います。

 

資本主義経済というと規制を撤廃して企業が自由に活動する社会のように思われがちですが、銀行を救済したり金融緩和したり政府の支えなくしては資本主義社会はなりたたないんですよね。

コンピュータやロボットが仕事をするようになると、人間の仕事も変わらざるを得なくなるでしょうね。

インターネットはいろんなものを無料にしてしまいましたが、新たなビジネスチャンスを作る場でもあると思います。

雇用身分をなくして、正当な報酬を企業に払うよう規制することこそ企業のイノベーションが進む原動力となるでしょう。

労働力を売るのではなく、生産手段を手に入れて搾取されないようにすることがこれからのワークスタイルです。

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