Appleの本当のイノベーション

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9/9にAppleが新製品のiPodを発表しました。

(ジョブズも元気になって復帰しましたね。)

iPhoneソフトのオンラインストアであるAppStoreに登録されたソフトが75000タイトルになったみたいですね。

iPhone3GSが発表されたときは50000タイトルだったのにすごい勢いで増えています。

ハードもかなりの数売れているみたいなので、このまま行くとまちがいなくiPhoneがスマートフォンではトップシェアをとるでしょう。

(今はNokiaがトップみたいです。)

私は最近のAppleのイノベーションの中で一番だと思うのはApp Storeだと思います。

なぜならば、これはどこの携帯サービスも行っていないソフトウェア開発者とユーザーにメリットを与えるビジネスモデルだからです。

今までNTTドコモやKDDIはiアプリやBREWなどでアプリケーションプラットフォームを提供しましたが、普及しませんでした。

ある携帯ベンチャーの経営者から聞いた話だとアプリケーションリリースや公式サイト申請などを行う場合、携帯キャリア社内のいろんな人たちに許可をとらなければいけないので根回しが大変だと言っていました。

これでは新しいものが出てくる芽を摘んでいるようなものです。

その点、Appleは元々パソコンメーカーなのでサードパーティーに自由にソフトを販売してもいいというポリシーを持っています。

AppleはPCメーカーの中では厳しい方だと思いますが、NTTやKDDIのような官僚構造にはなっていませんからね。

開発者のメリットとしては決済とマーケティングをAppleが行ってくれるということです。

iPhoneアプリの売上の30%をマージンとして取られますが、自分で広告宣伝してお金も回収することを考えると安い方だと思います。

いまやオープンソースやインドなどへのアウトソースなどでソフトでお金儲けをするのは難しくなってきました。

もちろんiPhoneでもいまや75000タイトルもリリースされているので、そこで売るのは簡単ではありません。

しかし、AppStoreという技術とアイデアがあれば誰でも世界を相手に挑戦できる場ができたというのはとても大きなことだと思います。

(デベロッパー登録は有料ですが、年間1万円くらいと小額です。)

売られているソフトも安価なものが多く、大半が1000円以下です。

ここまで安くできるのも、小規模なデベロッパーが比較的安価に多くのユーザーにアプローチできるからだと思います。

今までは大資本がなければ海外で販売するなんてできなかったですからね。

もしAppStoreがなければここまでiPhoneは売れていなかったかも知れません。

ところがおもしろいことに、AppStoreは最初Appleが考え出したものではありませんでした。

最初、AppleはiPhoneのための開発ツールを提供していませんでした。

つまりApple以外がiPhoneのソフトを作ることを禁じていたのです。

それをjailbreakという手法で無理やりiPhoneに自分の作ったソフトをインストールしていたプログラマーがたくさんいました。

また、Appleに対してiPhoneをプラットフォームとしてオープンにするように要求する声も大きくなっていました。

そこでAppleはユーザーの声に押される形でiPhone SDKをリリースしました。

また、最初はNDAだとかいって技術情報を外部に公表することを禁じていましたが、あまりの不評でそれもひっこめるという事態になりました。

(いまだに新しいOSに関してはNDAが適用されるみたいですが。)

しかし、そのおかげで多くのデベロッパーがiPhone上でソフトを提供することになり、爆発的に売れる製品になりました。

クローズドなカルチャーを持つAppleですが、オープンにすることによるメリットをApp Storeで学んだでしょうね。

今や多くの人々がインターネットを使うようになって15年ほど立ちましたが、その中で考え出されたイノベーションをApp Storeも利用しています。

その一つがAmazonやオークションサイトが使っているユーザー評価です。

App Storeのソフトに対して多くの人が評価とコメントを書いています。

評価しているものもあればくそみそにけなされているものもあります。

これによってユーザーは買う前にある程度品質を確かめることができます。

次にリコメンデーション機能です。

Amazonで本を買うとき、多くの人はこんな本も買ってますよと勧めてきます。

App StoreでもiPhone OS3.1にバージョンアップするとこの機能がついてきます。

これは、結構強力なマーケティングツールでユーザーの購買をかなり促すでしょう。

このようにAppStoreは今までのインターネットでのイノベーションを多く取り入れています。

真のイノベーションは過去のイノベーションを元に成り立つものなのでしょうね。

しかし、これからソフトがどんどん増えて行ったら選ぶのが大変にならないでしょうか。

私はそうはならないと思います。

おそらくこれからはアプリケーションを解説するサイトや本が提供されるでしょう。

また、ランキングや検索機能、リコメンデーション機能などによって探しやすくなると思います。

Googleやアマゾンはいまや無数にあるウェブサイトや商品情報から必要となる情報を検索してくれます。

それに比べればまだ数万程度の数であれば大したことはないと思います。

しかし、数が多くなると粗悪なソフトも多くなるでしょう。

昔、ゲームメーカーのアタリが粗悪なゲームソフトが多くなってだめになったことがあり、アタリショックと呼ばれました。

iPhoneのアタリショック化を懸念する声も出ていますが、私はそうはならないのではないかと思います。

なぜなら、当時に比べると粗悪なソフトの情報を得やすくなったからです。

App Storeのユーザー評価だけではなく、ブログやSNSが普及した現在では粗悪品の情報はすぐにユーザーに知れ渡ってしまいます。

GoogleやPalmもAppStoreと同じようなマーケットプレイスを作っています。

このモデルが他のソフトウェアビジネスに広がっていくかもしれません。

今まではソフトウェアビジネスは開発費用だけでなく、流通コストやマーケティングコストなど多くのコストがかかるため、ソフトウェアの価格も高額になっていました。

また、パッケージソフトウェアはリスクが大きいので多くのユーザーボリュームを持つよく売れそうな種類のものしか出てきませんでした。

しかし、AppStore方式だと安いコストで多くのユーザーにソフトを販売できるのでニッチなソフトでも小規模な組織でもリスクを取ることが可能です。

実質、人件費だけですからね。

今までもシェアウェアという形でニッチなソフトウェアは流通していました。

しかし、小規模な会社がマーケティングを行うことの難しさや決済の問題などでマーケットが広がることはありませんでした。

オープンソースのようの無償のソフトウェアはOSや開発ツールなどプラットフォームになるようなソフトを作るにはいいですが、アプリケーションやゲームなどユーザーが直接利用するソフトを作る体制としては成功していません。

しかし、App Store方式のソフトウェア販売はオープンソースやシェアウェアがカバーできなかった分野のソフトウェアを扱うビジネスモデルとしてこれから増えていくのではないかと考えられます。

日本ではソフトウェアエンジニアは待遇も悪く、3Kの職業として有名になってしまいました。

その原因はソフト業界が人を貸す人材派遣ビジネスになってしまったことと業界特有のゼネコン構造の搾取が多いため末端のエンジニアまで利益が回ってこなかったからです。

最近では1プロジェクトの期間が短くなり(3ヶ月くらい)、単金も不況のためかなりダウンしています。

単に違う種類の仕事というだけなのに上流工程の方が実装開発工程より単価が高いのが当たり前というのは私はおかしいと思います。

もう日本のソフトウェアエンジニアはこんな日本を見限って、新しい方法で仕事をすることを考えた方がいいと思います。

まずはiPhoneのソフトを作って世界に売ってみてはいかがでしょうか。

ところでAppleの製品発表会の最後にノラジョーンズの特別ライブがあったのですが、いい声してますよね。

一度、生で聞いてみたいですね。

Come Away with Me Come Away with Me
Norah Jones

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