「シリコンバレー精神」出版トークイベント

 ウェブ進化論で有名になってしまった梅田さんの新刊「シリコンバレー精神」のトークイベントに行ってきました。

イベントの模様は梅田さんBlogで見ることができます。

 トークの内容はシリコンバレーとオープンソースに関する話題がメインでした。

その中で1998年NetscapeがNavigatorのソースコードをオープンにしたことがオープンソースがブレイクするきっかけになったとおっしゃられていましたが、確かに当時はそんな感じでしたね。

しかし、それは企業側からの視点ではなかったかと思います。

 私は1990年からUnixのSEとして働いていましたが,当時1/4カートリッジでgccやemacs,X windowなどのソースコードを会社間で回覧していました。

当時はオープンソースとは呼ばずフリーソフトウェアと呼んでいました。

リチャードストールマンのフリーソフトウェアファウンデーションは当時とても有名でしたが変人扱いされていましたね。(今もそうかもしれませんが。)

 確かにそれらのソフトウェアは一般の人が使えるものではなかったですが、慣れるとPC系ソフトを使うのがかったるくなるくらい便利なツールがいっぱいありました。

例えばTeXなどは印刷品質のドキュメントが作れるので一世風靡しましたね。

OSでは4.3BSDはその以前から不完全とはいえほぼフリーの形で配布されていました。

 トークの中で吉岡さんはLinux 2.2以前のカーネルはスケーラビリティもなくて安定性にかけていたといわれていましたが,やはり彼には大企業向けシステムが念頭にあるのかなという感じがしました.

私はLinuxのkernel 2.0当時(1995年くらい)のサーバーをPCで運用していましたが、Windows NTやx86 Solarisよりもトラブルなく運用していました。

デスクトップPCでやるくらいのそんなにトラフィックもこないシステムでしたが、小規模では全く問題なかったですね。

(当時SolarisもWindows NTも大規模システムで使って使えたのか怪しいですが.)

 また吉岡さんはオープンソースのバザールモデルによる開発形態が非常に効率がいいといわれていましたが,それは企業側でソフトウェアをビジネスにしている人達には理解できないとのことでした。

 私が思うのは人はお金のためだけに働いているわけではないということです。

私もかつてお金をもらってソフトウェアを開発していたのでわかりますが、仕事だからといって作りたくもないソフトウェアを作らされる苦痛は相当のものがあります。

特に大きなシステムの一部だったりすると自分が何を作っているのかイメージが全くありませんでした。

 しかしオープンソースはエンジニアの作りたいものだけ作ればいい開発方法です。

こちらの方が効率がいいのは当り前です.

作っている本人も完全に完成形をイメージできますし、ソフトウェアをよくしようというモチベーションも出やすいと思います。

人は何かをつくり出すことに喜びを感じるものなのではないでしょうか。

少なくとも私は自分の考えたものが動き出すとたまらないものがありますね。

 ただ問題は資本主義とオープンソースとの相性があまりよくないことです。

オープンソースばかり開発するだけではごはんが食べられないですからね。

Googleはそこをうまくやった企業ですが、その他のオープンソース系企業で成功しているところはあまり多くありません。

というか無理して資本主義にあわせる必要はないのではないでしょうか。

どうも企業側の人達はオープンソースで金儲けばかり考える傾向にありますが、教育的効果や公共の利益という側面で活動してもいいのではないかと思います。

無償でもこれだけ多くのソフトウェアがオープンソースとして開発されたのはやはり人は作る喜びや人に役立つ喜びを味わいたいからじゃないかなって思います。

 シリコンバレーというのは資本主義の最先端のような場所なので、そこにいるとどうしても資本主義的な考え方になってしまうのでしょう。

しかしなんでもビジネスにしてしまうシリコンバレーの貪欲さは新しいものを生み出す力でもあるんだと思います。

 そんなオープンソースの利他的精神とシリコンバレーの起業精神の対比がなんかおもしろいなと感じたイベントでした。

 

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