クラウドソーシング

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クラウドソーシングとは不特定多数の普通の人々に仕事を依頼するための仕組みです。

クラウドソーシングを使えば優秀な個人に任せるよりもよりよいアウトプットが得られる可能性が高いことがわかってきました。

ただしクラウドソーシングではやる気のある多くの多様な人々を集めることがが条件となりますが、インターネットの普及によってそれが可能になりました。

クラウドソーシングで有名なプロジェクトはオープンソースOSのLinuxです。

Linuxが出てくるまではOSは複雑なソフトウェアなので大企業など優秀な人たちがいる組織でないと作れないと思われていました。

しかし、北欧の一大学生が始めたプロジェクトがいまやOSシェアの多くを占めるほどのソフトウェアになりました。

一部の人たちはLinuxが使えるようになったのはIBMなど大企業が協力するようになってからだと言っています。

しかし、私は1996年くらいまだ大企業がLinuxなんて見向きもしなかったころにサーバー運用をしていましたが、一緒に運用していたSolarisよりも安定して動いていました。

(その当時のSolarisは長期間運用していると突然死んでしまうことがありました。)

なので、ボランティアの人たちだけで開発していたときでも十分に商用OS以上の品質はありました。

参加しているエンジニアがそんなに優秀じゃなくても多様な人たちがいればカバーしあえるのでしょうね。

オープンソース開発については「伽藍とバザール」という本にも詳しく書かれています。

また製薬会社のイーライリリーの社内ベンチャーとしてはじまったイノセンティブというサイトもクラウドソーシングを利用したサービスです。

企業の多くは研究所を持っていて優秀なスタッフを雇って色んな発明や研究をしています。

しかし、どうしても一企業では解決できない問題をイノセンティブにあげて解決者を募ります。

解決者はソルバーと呼ばれ、解決策を思いついた人は解決案を提示すると企業から報奨金をももらうことができます。

意外にも解決策を出す人はその道の専門家でないことがほとんどだそうです。

ある化学会社は塗料の粒子を定着させる方法を探していましたが、解決したのは物理系のエンジニアだったそうです。

そして、そのエンジニアは問題を見た瞬間に解決策を思いついたそうです。

あまりに専門化が進むと違った観点からものを見ることができなくなるのでしょうね。

イノセンティブのソルバーになるには学歴や経歴が問われることがありません。

問われるのは解決策を提示できるかどうかだけです。

世の中には能力があっても自分のやりたい仕事につけない人はいっぱいいます。

化学会社の問題を解決した物理系エンジニアもお金のためにやりたくない仕事をやっているそうです。

しかし、仕事が終わったら自宅に作った研究所にこもってイノセンティブの問題を解決するための研究をしているそうです。

こういうサービスが出てくればそういう人も能力を発揮することができるようになっていくでしょうね。

クラウドソーシングを読んでいてこれは新しい産業の形態ではないかと思うようになりました。

競争の原理でやっていくと人を効率よく選別し少数の勝者と多くの敗者を生み出します。

しかし、クラウドソーシングは個人個人が平凡でもみんなでやればすばらしい結果を出せます。

そのためには多様な人々が多く集まることが必要条件となります。

これからはどれだけ多様な人々を集められるかが企業や組織で重要なテーマになるのでしょうね。

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2件のコメント

  1. hikawa55

    はじめまして。
    書評読ませていただきました。
    たしかに多様な価値観の人が一同に働ける環境づくりが、今後は必要になりそうですね。
    伽藍とバザールの本の紹介を見て、読んでみようと思いました。ありがとうございます。
    また立ち寄らせていただきます。

  2. hikawa55さん、はじめまして。
    コメントありがとうございます。

    伽藍とバザールは私にとっては資本主義の考え方ではない経済学のような印象を受けた本でした。
    私はこの本を読んでなぜ自分の利益にならないオープンソース開発に多くの人が参加するのかがなんとなく理解できました。
    とてもおもしろい本なのでぜひ読んで感想をブログにアップしてください。
    私は本を読むのが好きなのでしょっちゅう本の紹介をブログで書いています。
    よかったらまた読んでください。

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