ムーアの法則の時代を生きる

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photo credit: ST 486 DX2-80 via photopin (license)

こちらのグラフをご覧ください
ムーアの法則

これはご存知の方も多いと思いますが、ムーアの法則をグラフで表したものです。
IC上のトランジスタ数は18か月で倍になるという予測ですが、ゴードンムーアがこの法則を発表してから40年以上経っていますが、いまだにこのペースで集積度が上がっています。
ただ、もうそろそろ限界ではないかと言われていますが、ペースが落ちたとしても他の技術より高性能化するのは変わらないでしょう。

上のグラフは縦軸が対数になってますので、普通のグラフで描くと以下のような指数関数になります。

指数関数

これは何を表しているのでしょうか。
およそ30年前、iPhoneより非力なUnixワークステーションが1台300万円もしました。
これほど機能が上がって価格が劇的に下がった製品はかつてありませんでした。
そして、指数倍に能力が上がるということは、時がたつにしたがって上がり方が加速するということです。
したがって、ムーアの法則がインパクトを与えるのはこれからなのです。

コンピューターの性能が上がることにより、機械学習という技術が進んできています。
機械学習とはコンピューターにいろんなことを教えて人間の代わりに仕事をさせる技術です。
ITシステムで機械学習の技術が一番よく使われているのは、メールのスパムフィルターです。
スパムメールには「激安」とか「ダイエット」などのキーワードがよく使われます。
それらのキーワードを含むメールをベイズ理論という統計理論を使って、スパムかどうかを識別します。
そして、コンピューターはたくさんのスパムメールを扱うことによって学習し、だんだんとスパム識別の精度を上げていきます。

また、最近で有名なのはGoogleの自動運転車でしょう。
この自動運転車も機械学習の技術が応用されています。
自動車に搭載されたコンピューターは、センサーから周りの状況を分析し、自動車を運転して目的地まで走ります。
コンピューターが車を運転するなんて危ないんじゃないのと思うかもしれませんが、飛行機の世界では極力機械が操縦したほうが安全だという統計データがあります。
車の事故も人間のミスが原因のケースが多いですし、人間は前しか見ることができないので360度見ることのできる自動運転車のほうが運転能力は上なのです。
もちろん、バグや不具合がなく動いていることが前提ですが、現代の自動車もすでに多くのコンピューターが組み込まれています。
エンジニアリングが進めば、重大なバグをなくすノウハウも蓄積されていくでしょう。

Google Self-Driving Car Project

そして、これからコンピューターは論理的な思考が必要な仕事を、人に代わってどんどん担うようになると予想されます。
例えば、弁護士は非常に論理的な考え方の上に成り立っている法律を扱いますが、これはコンピューターが最も得意とする分野であり、法律AIシステムができればこれからは低コストで訴訟や法律サービスを提供できるようになるでしょう。
また、医療もおそらく町医者レベルの診察や処方箋の提供は近い将来コンピューターでできるようになると思われます。
そうすると医療費もかなり削減できるようになるでしょう。

また、ICチップが小さくなることによって、ロボットも作りやすくなるでしょう。
人間の体の神経細胞は分子レベルで電気をやり取りしていますが、それに近い構造のロボットが近い将来出てくると思われます。
そうすると肉体労働的な仕事も機械が行うようになり、かなり低コストで製品や建築物を作ることができるようになるでしょう。

そうすると仕事がなくなる人も出てくるでしょう。
資本主義社会は厳しい社会です。
企業はできるだけ安いコストで経営しようとします。
そして、コストのかかる人間ではなく、コンピューターにやらせてコストを下げようとするでしょう。
そんなのは理不尽だから機械導入に反対しようと思うかもしれませんが、時代の流れは止められません。
では、これからどうやって生きていけばいいのでしょうか。

第一に、今の仕事に固執しないで、新しい仕事にチャレンジすることです。
これから今まで人が行っていた仕事をコンピューターが行うようになることが増えていきます。
そんなときは古い仕事にしがみついたり絶望したりするのではなく、新たな仕事に挑戦すべきです。
幸いにも、コンピューターが高性能になっても、まだできない仕事は結構あります。
例えば、コンピューターが高度な仕事をできるようになるためには誰かが教えなければいけません。
手術の方法を教える医師や訴訟のケースを教える弁護士などの仕事がこれから需要があるでしょう。
また、コンピューターは直観がないため、人の気持ちを読んだり、全く新しい発想を思いついたりすることが苦手です。
デザイナーやコピーライターなど人の気持ちに訴えるような仕事は、これからも人間がやったほうがいいアウトプットを出せるでしょう。

第二に、IT技術について学ぶことです。
これからはIT技術は誰しもが知っておくべき知識になるでしょう。
できれば、プログラミングやデータベース構築ができるようになるのがいいのですが、そこまでいかなくてもIT技術全般のことは一般知識として学んでおくべきです。
そして、ムーアの法則を享受できるようにしたほうが、豊かになるチャンスは増えると思われます。

第三に、ITサービスを積極的に利用しましょう。
これからはGoogleの検索機能やTwitterやFacebookなどのSNSを使いこなせるかどうかで、クォリティオブライフがかなり違ってきます。
また、近い将来、国が提供するサービスもインターネット経由で利用できるようになるでしょう。
そうすれば、役所に行かないでも手続きができるようになるので、かなり時間の節約になるでしょう。
未来には国だけではなく、あらゆるサービスはスマホですべて手続きできるようになるかもしれません。

私は、ムーアの法則が実現する社会は、人から仕事を奪う社会ではなく、個人が本当に好きなことができる社会になるのではないかと思っています。
資本主義社会は一人ではできないことを多くの人が集まって実現する社会でした。
お金も多くの人から集め、優秀な人材もたくさん集めて個人ではできないようなことを実現することができました。
しかし、個人が集団に埋もれて、息苦しい組織で我慢しながら生きていかなければいけないというデメリットもありました。
これを、ムーアの法則は個人にパワーを与え、自分の夢を実現することをかつてないほどに容易にしてくれます。
AppleやMicrosoft,GoogleそしてIntelといった大企業は、このムーアの法則を利用して大きくなることができました。
これからは普通の個人がムーアの法則によって豊かになれる時代になりつつあるのではないでしょうか。

インテルは世界を変えた企業の筆頭です。最初のCPU開発に日本人が関わっていたというのは日本人として誇らしいですね。

ムーアの法則が社会や個人の人生にどういうインパクトを与えるかを感じさせるいい内容の本でした。はやく翻訳が出るといいですね。

条件付き確率と呼ばれるベイズ統計学ですが、数学好きなら学んでおいて損はないです。

コンピューターがどう動いているかエンジニアでもわかってない人は多いです。これからの時代の一般教養として知っておくべき知識です。

プログラミングできるというのは大きなパワーを持っているのと同じです。日本ではプログラマーの評価は低いですが、アメリカやヨーロッパでは引く手あまたなので将来海外で働きたい人はプログラマーになるのが近道だと思います。