価格破壊のIT業界

 私がエンジニアになったばかりのころ(15年くらい前)はUnixワークステーションが何百万もしていて、通信回線は電話でダイアルアップが一般的でした。

 私はUnixで開発を行っていましたが、開発ツールはフリーのものをよく使っていました。gccはフリーソフトウェアファウンデーションという団体がフリーで配布しているコンパイラーですが、そこら辺の売り物のコンパイラーよりもよくできていて効率のいいコードを吐き出しました。gccが出てきてから市販のUNIX Cコンパイラーはだんだん売れなくなっていったようです。これが私が始めて体験したITでのチープ革命でした。

 

 そのうちPCの性能がどんどんよくなってハードウェアのコストも劇的に下がりました。「半導体の集積密度は18〓24ヶ月で倍増する」というムーアの法則を現実として見せつけられた感じでした。私がエンジニアになりたてのころ300万していたSunのSparcマシンがいまや30万くらいに下がって性能は格段にあがりました。

 次に体験したのが通信コストの価格破壊でした。最初にインターネットの仕事に関わったとき128kのINSの専用線で月30万ほどしていたのがいまや100M光回線で1万円くらいになってしまいました。日本は世界でも最も通信回線の価格破壊が進んだ国だったから価格下落は劇的でした。

 ソフトウェアも価格破壊が進んでいます。WeblogicやOracle,SAPなどのサーバー製品は数百万から数千万しますが、そのような高価なプロダクトがだんだん売れなくなってきています。セールスフォースドットコムは月5000円で同等の機能を提供しています。

 

 これらのプロダクツを扱うSI企業も価格破壊の波にもまれています。以前は製品にマージンを乗せて高い利益率を出していましたが、いまや箱売りでは利益が上がらなくなってしまったため多くの企業がコンサルテーションなどの付加サービスで稼ごうとしています。

 IT企業は一番変化の激しい業界なので価格破壊も起こりやすいのだと思います。しかしアメリカに比べるとまだまだ甘い構造です。大企業の子会社がIT会社を作って大手のコネで立ち上げるというパターンが日本の成功パターンです。しかしアメリカのIT企業は製品のユニークさや技術力の高さなど中身で勝負しています。

 日本は車や家電製品が強いから今は大丈夫かもしれませんが、ITやバイオなど未来を担う企業は育っていません。私たちの世代ががんばって少しでもアメリカに追いつきたいですね。

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