技術と企業価値

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る
Pocket

 IT業界の底辺で働いていると経営者と現場の意識があまりにも違うことを感じます。

 よく売れている本では現場が大切だということを主張するものが多いですが、無条件に現場礼賛もどうなのかなと現場にいて思います。

 私は自分でビジネスを起こすためにファイナンスや会計を勉強するようになりましたが、もともと自分のやりたいこととお金儲けになることが両立するのかという疑問がいつもありました。好きなことを突き詰めればお金は後からついてくると言う人はいますが、果たしてそうでしょうか?私は必ずしもそうはならないと思います。

 IT業界の現場ではこの技術はすごいとか新しいことをやっていかなければいけないなどの話がよく出てきます。しかしそのことが企業価値を向上させるのか考えている現場の人を私は見たことがありません。それを考えるのは経営者の仕事で現場は言われたことだけやっていればいいのかもしれません。またIT業界では技術が好きでエンジニアをやっている人が多いですが、ビジネスでは技術は手段でしかなく価値そのものではないと理解している人も稀です。しかしもし現場が企業価値に対して関心を持っていれば企業価値向上に貢献することは間違いありません。

 ファイナンスの世界では企業が生み出す利益率から資金調達コスト率を引いたものが企業価値になります。したがって利益率が資金調達コスト率より低いといくら売り上げが多くても儲からないという状況になります。

 現場はいかに資金調達コスト率より利益率を上げるかを考えるべきだと思います。もし資金調達コスト率より利益率が低いのであればそんなビジネスはやるべきではないでしょう。それはつまり働いても働いても儲からないという状況になります。

 好きなことを突き詰めればお金はついてくるというのはこの利益率の問題をクリアしたときにのみ成り立つことだと思います。好きであれば労働効率は高いですが、それはあくまでも前記の問題を解決している場合にのみ儲かるということです。

 しかし儲からない状況で延々とビジネスを続けている会社が多いと思います。現場もそういったことをわからず長時間働いていたりしますが、会社としては赤字垂れ流しプロジェクトとなっています。

 営業的な判断などでそうせざるを得ない状況もあるかもしれませんが、基本的に利益のでないビジネスはやるべきではないでしょう。現場のエンジニアも利益を考えて仕事をしないと無駄な労力を費やすことになると思います。

 現場がそんな判断をすると面倒だと思っているのか日本の多くの企業は従業員に企業価値に関する知識を伝えようとはしていません。単なるロボットとして働いてくれることしか期待していないのかもしれません。

 しかしこれからの時代は従業員もパートナーとして遇する時代になりつつあるのではないでしょうか?大きなルールの中で個々人が自分の責任において判断していくことはこれからの企業に必要なマネージメントだと思います。

 現場から遠く離れた経営者より現場の方がビジネスに関する判断は的確です。権限委譲していくためにもこれからは現場がファイナンスリテラシーを理解しなければいけないと思います。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る
Pocket

コメントを残す