未来はネットワーク型

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る
[`evernote` not found]
Pocket

3237928173_9d99dc9113
photo credit: Neural Network : basic scheme via photopin (license)

最近の日本企業の凋落はとどまるところを知らず、1990年以降、日本の経済は停滞しつづけ失われた20年が30年になろうとしています。
最近では、シャープは鴻海に買収され、東芝は大規模なリストラを行っています。
国は経済成長率を上げるために、マイナス金利政策などの思い切った金融政策を行っていますが、2%の目標経済成長率をほとんど達成できず経済低迷が続いています。

日本の経済成長の推移

なぜ、日本はここまで経済的にだめになってしまったのでしょうか。
これは、単に景気が悪いということではなく、何か根本的な問題である可能性が高いと思われます。
簡単に言うと日本企業が稼げなくなってきたからですが、ではなぜ稼げなくなってしまったのでしょうか。
一つの仮説として世界がデジタル化して、日本企業がその変化に対応できなかったからなのではないかということが考えられます。
下の図を見てください。

diagram1c
20世紀型企業はピラミッド構造をしていて、トップの指示の元、すり合わせを行って製品を作ってきました。
ピラミッド型組織の代表例である日本の自動車会社は、会社だけでなく系列と呼ばれる企業群もピラミッド構造になっています。
このピラミッド型組織は、情報は上部から下部へ縦方向に伝達される性質をもっています。
そして、この組織形態は自動車のようなすり合わせが必要な製品を作るのにはうまく機能していました。

しかし、21世紀になりデジタルの時代になると、このピラミッド構造の組織がうまく機能しなくなってきます。
なぜならば、PCやインターネットが出現して、個が緩やかに連携するネットワーク型組織を簡単に作ることができるようになり、ネットワーク型組織の企業がピラミッド型組織を駆逐するようになったからです。
例えば、シリコンバレーは各企業が対等な立場で連携し、モジュール化されたハードウェアやソフトウェアを組み合わせることによって製品をすばやく作り出すことができました。
ネットワーク型組織は人や組織はお互い対等なので、情報も横方向に伝達される性質があります。
そして、複数の相手とコミュニケーションを行うので、情報がピラミッド組織より速くかつ広く伝わります。

また、PCやスマートフォンなどの製品は、設計はアメリカ企業が行い、製造、デリバリーは中国企業で行うといったグローバルな分担体制が可能になりました。
一方、全て自前で開発、販売しようとした日本のメーカーはグローバル市場で敗退していきます。
また、デジタル化の進展でハードウェア自体で差別化することが難しくなっていきました。
例えば、液晶テレビはチューナーや液晶パネルなどの部品さえ手に入れば誰でも組み立てられるようになりました。
そのため、液晶テレビ自体で差別化することが難しくなり、グローバル競争のなかで利益が取れなくなっていきます。

さらに、ピラミッド構造の組織にはサイロ化という問題があります。
企業は規模が大きくなるに従い、部署に分かれて専門化していく傾向にあります。
仕事が高度になっていくと専門化していくのはしかたのないことなのですが、各部署が離れ小島のような状況になりお互いコミュニケーションしなくなります。
例えば、10年前にソニーがデジタルウォークマンを出した時、複数の部署が似たようなウォークマンを出したことがありました。
各部署がサイロ化し、横の情報伝達が行われなかったいい例です。
この組織のサイロ化が日本企業の衰退の大きな原因だと考えられます。

これから日本が復活するには、あらゆる組織がネットワーク型組織に変わる必要があります。
それは、自動車などの高度にすりあわせが必要な企業も例外ではありません。
なぜならば、デジタル化はこれからあらゆるところで進んでいきます。
車もこれから電気自動車や自動運転など限りなくロボットに近づいていくでしょう。
そうなると、トヨタでさえも今のシャープのようになってしまう可能性は高いのです。

では、ネットワーク型組織になるためにはどうすればいいでしょうか。

1 全ての人が対等な関係

ピラミッド型組織では指揮命令を行うために上下関係が基本的な構造でした。
しかし、ネットワーク型は上下関係のないフラットな構造が基本となります。
したがって、組織の文化も全く違うものになってきます。
マネージャーといえども単なる役割にすぎなくなるので、命令するのではなく協力して目的を達成する必要が出てきます。

2 分野の違う人と積極的に交流する

ピラミッド型組織では、各部署がサイロ化して働きなれた人たち同士かたまって仕事を行います。
一方、ネットワーク型組織は違う部署の人たちだけでなく、違う組織の人たちとも積極的に交流して新たな価値を創造していかなければいけません。
ネットワーク型組織の強みは、違う分野の人々が協力することによってイノベーションが起こりやすいことです。
そして、これからのビジネスは複数のプロフェッショナルが協力しないと生き残れない時代になっていきます。

3 忙しすぎない

ネットワーク型組織は様々な人たちの連携によってイノベーションが起きやすい組織です。
しかし、あまりに目の前の仕事で忙しすぎると、新しいことにチャレンジすることができなくなります。
日本企業は打ち合わせや稟議システムなど合意形成に時間がかかりすぎです。
これらの無駄なやり方を改め、権限移譲を進めて日々の仕事をできるだけ効率よく短い時間で業務が終わるようにすべきです。
そして、Googleが行っている労働時間の20%は自分のやりたいことができるようにするなどの工夫を取り入れて未来への投資を積極的に行うべきでしょう。

もちろんピラミッド的な要素はネットワーク型組織でもある程度必要でしょう。
全くのフラットだと各部署が勝手なことをやるようになり、衆愚政治のような状態になってしまいます。
しかし、イノベーションやスピードの点からいうと、これからの組織の基本はネットワーク型でないと生き残れないでしょう。
そこをどうミックスするかが、組織を運営する人の腕の見せ所です。

究極のネットワーク組織であるインターネットを、多くの人が使うようになって20年が経ちました。
つまり、人が生まれて成人するくらいの時がたったということです。
そのくらい時がたつと、新しい技術も空気のようにあって当たり前の状態になります。
日本でも、TwitterやFacebookなどSNSで情報発信する人がかなり多くなりました。
しかし、日本の特に大企業の経営層はその変化についてこれていません。
日本の企業もいいかげん自ら変わっていかないとこれからの時代を生き残ることは難しいのではないでしょうか。

シャープだけでなく、強固なピラミッド構造の組織はこれからどんどんつぶれていくでしょう。

しょせん企業は人間によって作られているので、人類学的視点から組織を見るアプローチはとても参考になります。

ネットワークとは何かが一番理解できる本だと思います。

今、日本企業の経営者が読むべき本はこれかもしれません。
もう過去の栄光にすがっていても未来はありません。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る
[`evernote` not found]
Pocket