「企業価値評価」のメモ第5弾。

 いつもコメントしていただいているkirohさんが言われていたリアルオプションについても書かれていました。

リアルオプションとは金融の世界で使われているオプションプライシングモデルを実際の事業やプロジェクトの投資判断に応用したものです。

オプションとは権利を行使するかどうかの選択権のことです。

ストックオプションというのもオプション取引のひとつですが、これは株式をあらかじめ定められた価格で買うことの出来る権利ですね。

これも使うかどうかを選ぶことができるものです。

 DCF法では未来のキャッシュフローを予測して企業の現在価値を算出しました。

これはキャッシュフローが予測しやすい企業、例えば生活必需品を作っている会社とか電鉄会社など比較的安定した利益が予測できる場合は有効な評価方法です。

しかし私が所属するIT企業や製薬会社は行っているビジネスのリスクが高いためDCFでは正確に評価できません。

そこでオプションを使います。

簡単にいうとちょっとやってみていけそうだったらがつんと投資しようというのを理論的にしたものという感じでしょうか。

例えば製薬会社では薬を開発する場合、まず第一関門になるのが研究段階で機能する化合物が見つけられるかということです。

その化合物が見つからなければ開発を中止するというオプションを設定します。

次の関門が臨床試験が通って薬として認可されるかどうかです。

ここで認可されなかったら開発をやめるのか続行するのかというオプションをさらに設定します。

 このオプションを評価することによってDCF法では投資対象にならなかったプロジェクトも投資対象として評価されることになることがあります。

事業に対するオプションとしては以下のようなものがあります。

・撤退オプション

 事業から手を引くということですね。

 この場合人を解雇したり設備を廃棄したりというコストや資産売却の利益を考える必要があります。

・縮小拡大オプション

 事業規模を大きくしたり小さくしたりします。

 思ったより売れなかったとか大ヒットしてしまったというリスクを考えたオプションです。

・投資延期オプション

 事業にはタイミングが重要です。

 必ずしも一番早く行うことが利益を最大化することにはなりません。

 投資延期オプションも意思決定には重要なオプションです。

・追加投資オプション

 最初は小さくはじめて大きく育てるのはビジネスの基本ですよね。

・スイッチオプション

 企業が製品を出したとき思いもしなかったような使い方を顧客がすることがあります。

 またある目的で作った施設が違う目的に使われるようになることもあります。

 このような場合、スイッチオプションが必要になってきます。

 難しい数式はいまだに理解できていませんが、リアルオプションの考え方は理解することができました。

しかし、これってビジネスでは人の勘で行われていたことですよね。

それを理論だてて整理したことはとても意味がありますね。

 これを書いていて イノベーションのジレンマという本書いてあったエピソードを思い出しました。

HP(ヒューレットパッカード)は以前測定器に内蔵するためのハードディスクを開発しました。

非常にコンパクトで高性能でしたが、高価で全く売れませんでした。

ある日任天堂がファミコンの記憶装置として使いたいと言ってきたそうです。

しかし、ファミコンに搭載するにはコストを劇的に下げなければいけませんでした。

HPはすでにこのディスクを開発するために多額の投資をしていたため再設計することが出来なかったそうです。

これこそスイッチオプションに当てはまる事例ですよね。

 これからの日本企業は新しいことをやっていかないと生き残れない時代になってきました。

不確実性やリスクをコントロールしてビジネスを行うスキルは必須だと思います。

しかしリアルオプションだけではビジネスを成功させることはできないと思います。

リアルオプションのようなツールも使いつつこれから社会はどうなるかという感覚を磨くことが必要になるのではないでしょうか。

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